デュアルライフ(二拠点生活)とは?理想の生活を始めるためのポイントを解説!
デュアルライフ(二拠点生活)に興味を持ちつつも、その実態や費用、始め方が分からず、足踏みしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、デュアルライフの特徴やメリット・デメリット、スタートさせる方法、費用の目安などについて解説します。あわせて、デュアルライフを始める前に利用したい月額制のサブスクリプションもご紹介しているので、ぜひご参考にしてください。
目次
デュアルライフ(二拠点生活)とは
デュアルライフとは、2つの地域を生活拠点とするライフスタイルのこと。ひとつの地域に定住したり、今住んでいる地域から別の地域へ完全に生活拠点を移したりするのではなく、2つの地域を行き来するのが特徴です。具体的には、例えば「月曜日から金曜日までは都心にある住居で過ごし、土曜日・日曜日は地方の住居でまったり過ごす」といったライフスタイルが挙げられます。
デュアルライフが広がり始めた理由は「人々の働き方が多様化したこと」です。自分らしい働き方を実現しやすくなったことで、ライフスタイルもそれに伴い柔軟性が増し、デュアルライフに目を向ける人が増えたと考えられます。
デュアルライフのメリットとデメリット
では、デュアルライフにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
メリットとしてまず挙げられるのは「メリハリのある生活を送れる」という点です。
デュアルライフには移動が伴うため、その時間で仕事とプライベートの切り替えをしやすくなります。また、例えばプライベートの時間を過ごす拠点に行けば、その間は仕事のことを考えづらくなるため、より有意義でリラックスできる生活を送ることができます。
この他、メリットには「さまざまな価値観を身につけられる」という点もあります。
例えば、都心と地方のデュアルライフを送っている場合、都心に定住しているとあまり出会えない方々と人脈を築くことができます。つまり、自らのコミュニティを広げやすくなるのです。
人は自分自身を取り巻く環境に影響を受けやすく、交流する人や地域に伝わる文化が変われば、自らの価値観にも変化が現れます。そのため、デュアルライフを実現すれば考え方が凝り固まりづらくなり、さまざまな視点で物事を捉えられるようになります。
加えて、「新たなビジネスチャンスをつかみやすい」という点もメリットのひとつです。
デュアルライフをスタートさせ、2つの地域でコネクションを作ることで、新たなビジネスチャンスが舞い込む可能性があります。とくに地方の場合、都心では一般化しているサービスが提供されていないことも珍しくありません。そのため、地方をデュアルライフの拠点とすれば、都心ではなかなか着手できないビジネスを展開しやすくなるでしょう。
デュアルライフのデメリットには、まず「費用がかかる」という点が挙げられます。
住居の借入または購入、家具・家電の購入など、生活する上で必要な費用が大体2倍になる他、それぞれの拠点を行き来する際の移動費も発生します。そのため、ひとつの地域に定住する場合と比べて費用がかかってしまうのです。出費だけが増えて得られるメリットが少ないと元も子もないので、あらかじめメリットに見合う費用かどうかを確認するようにしましょう。
この他、デメリットには「拠点間の移動が負担になる」という点もあります。
それぞれの拠点を定期的に行き来するとなると、移動にかかる時間や労力が負担になる可能性があります。これではデュアルライフを心から楽しめなくなってしまうため、移動時間に勉強したり映画鑑賞をしたりと、負担にならない工夫を取り入れることが大切です。
住民票を置くべき拠点
前提として、2つの地域に住民票を置くことはできません。そのため、デュアルライフを送る場合はどちらかひとつの地域に住民票を置く必要があります。基本的には本拠地、つまり「滞在する頻度が多い拠点の地域」に置くようにしましょう。
住民票を置かなかった地域に関しては、公的なサービスを受けられなくなる可能性があります。ただし、地域によってはデュアルライフに取り組んでいる人向けのサービスが充実していることもあるため、第二の生活拠点とする地域を選ぶ際はそうしたサービスがあるか確認するようにしましょう。
デュアルライフをスタートさせるには?
デュアルライフを始めるには、働き方を見直したり第二の生活拠点となる場所を選んだりする必要があります。以下で、それぞれのステップについて詳しく解説するので、ぜひご参考にしてください。
デュアルライフに向いている働き方
デュアルライフに向いている働き方には、主に以下の3つが挙げられます。
フリーランス
フリーランスとは、企業に属さず個人で仕事を請け負う働き方のことです。インターネット環境とパソコンがあれば場所を選ばず仕事できるので、デュアルライフには最適といえます。
なお、フリーランスとして活躍している人が多い職種には、ライターや編集者、デザイナー、エンジニア、イラストレーターなどがあります。
リモートワーク
リモートワークとは、いわゆる在宅勤務のこと。自らが属している企業のオフィスではなく、自宅をはじめとする「自分が働きやすい場所」で仕事をするのが特徴です。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、現在多くの企業がリモートワークを導入し始めています。そのため、もし「2つの生活拠点、どちらでも仕事ができるようにしたい」という場合は、積極的にリモートワークを申請しましょう。
業務委託
業務委託とは、企業に属さず個人で仕事の内容ごとに契約を結ぶことです。フリーランスと混同しがちですが実際は異なり、フリーランスが働き方であるのに対し、業務委託は契約形態を指します。
とはいえ、働く場所を自由に選べたり請け負う業務の量を自分で決められたりする点は共通しているので、フリーランス同様、デュアルライフに適しているといえるでしょう。
デュアルライフする場所の選び方
デュアルライフを実現させるため、第二の生活拠点を選ぶ際は、以下のポイントを押さえておくことをおすすめします。
賃貸の探し方
賃貸物件の契約を考えている場合は、まず不動産会社のホームページを確認しましょう。こだわりの条件のもと物件を探せるため、求める住まいが見つかりやすいといえます。
もし、ホームページ上の情報だけで判断できない場合は、不動産会社に足を運ぶのがおすすめです。スタッフと対話することでホームページ上にはない情報を得られる他、内見することで実際に生活したときのイメージがしやすくなるため、デュアルライフに適しているかどうかをより正確に判断できるようになります。
シェアハウス
デュアルライフの住居としてシェアハウスを選ぶのも一案です。賃貸物件よりも家賃が低いことが多いため、出費を必要最小限に抑えることができます。
ただし、自分が住みたい地域に必ずしもシェアハウスがあるとは限らないので、前もって調べるようにしましょう。
シェアハウスを探す際は、シェアハウス専用の検索サイトを活用するのがおすすめです。また、Googleをはじめとする検索エンジンで「地域 シェアハウス」と検索するのも有効といえます。
なお、デュアルライフの住居には、シェアハウスのほかコンドミニアムもあります。掃除や管理をしなくても良いというメリットがあるため、選択肢のひとつとして検討してみてもよいでしょう。
土地や家を購入
この他、土地や家を購入するのも良いでしょう。理想を詰め込んだ家を建てられたり自由にリフォームできたりするので、デュアルライフをより充実させやすくなります。
ただし、土地や家を購入するのであれば、事前にその地域が肌に合うか確認しておくことが大切です。実際に住んでみてから「思っていたのと違う」となったとしても、土地や家を購入した手前、移住するのは決して容易ではありません。そのため、いきなり土地や家を購入するのではなく、まずは賃貸物件を契約して試験的にデュアルライフをスタートさせてみることをおすすめします。
自治体の支援制度を活用
第二の生活拠点を選ぶ際は、その地域の支援制度の充実度を確認することも大切です。
地域によっては、デュアルライフに興味がある人向けの支援制度が充実していることもあり、例えば「お試し移住体験住宅」を設けているケースが挙げられます。これを利用すれば、本格的に始める前にイメージをつかむことができ、さらには必要な準備が分かりやすくなるため、スムーズにデュアルライフを始められます。
こうしたメリットから、第二の生活拠点には「支援制度が充実した地域」を選ぶことをおすすめします。
デュアルライフにかかる費用
では、デュアルライフを送る場合、どのような費用がかかるのでしょうか。
ランニングコストやローン
デュアルライフの初期費用・ランニングコストは、以下のとおりです。
初期費用 | 敷金、礼金、家具・家電の購入費 (※物件や土地を購入する場合は、それらの購入費も含む) |
ランニングコスト | 家賃、修繕費、電気代、水道代、通信費、飲食品・日用品の購入費、交通費(拠点間の移動にかかる費用)保険料、維持管理費 など |
これらはあくまでも一例であり、場合によっては発生しない費用があったり、追加でかかる費用があったりします。そのため、参考程度に捉えるようにしましょう。
この他、現時点で拠点としている住まいの住宅ローンが残っている場合は、新たに購入する住まいのローンの審査に通りづらくなることがあります。また、審査に通ったとしても借入額が少なくなるケースもあるため、その場合は追加で費用を用意しなければなりません。
住民税は二つの拠点には課税されない
住民税は、毎年1月1日時点で住所がある市町村にて課税されます。加えて、2つ以上の市町村が同じ年に同じ人に課税することはありません。そのため、デュアルライフを送っている場合も、ひとつの拠点(市町村)にて課税されることになります。
このとき、注意しなければならないのが「本拠地に住民票を置くこと」です。
税務署は住民税を算出する上で、ガスや水道の使用量を確認したり、周辺住民に聞き込みしたりして「そこが確実に生活の場なのか」を細かく確認します。これにより、もし住民票を置いている拠点(市町村)が生活の場だと認められなかった場合は、差額を徴収される他、附帯税が課せられることもあり、結果として徴収額が膨れ上がる可能性があるのです。
こうした予想外の出費を防ぐためにも、住民票は必ず本拠地(滞在する頻度が多い拠点の地域)に置くようにしましょう。
月額制のサブスクリプションを活用してみる
昨今、さまざまな地域で生活を送れる「月額制のサブスクリプションサービス」が増加しています。先にこのサービスを利用すればデュアルライフのイメージがより鮮明になるため、この機会に代表的な種類とそれぞれの特徴を押さえておきましょう。
ADDress(アドレス)
ADDressは、日本各地の空き家を活用した「住まい」のサブスクリプションサービスです。月額44,000円(初期費用・光熱費込み)で、全国どこでも好きな物件に住むことができます。また物件には、家具・家電やWi-Fiをはじめとする「生活や仕事に必要なもの」を完備しているため、手間なくデュアルライフを試すことができます。
HafH(ハフ)
HafHは、旅のサブスクリプションサービスです。全国にある1,017件以上の物件・施設を月額2,980円から利用できます。宿泊数で変わるプランが全部で5つあるので、自分のスケジュールに応じて選ぶことができ、さらにはいつでも休会できるため無駄が生じることもありません。
hotelpass(ホテルパス)
hotelpassは、全国各地の800件以上の物件・施設に長期滞在できるサブスクリプションサービスです。月額69,800円から利用でき、敷金・礼金・仲介手数料は一切かかりません。最短で翌日から利用できるため、思い立ったときにすぐデュアルライフを試すことができます。また、申請をしなければ自動で予約が更新されるので、同じ物件・施設に継続して滞在することが可能です。
SANU(サヌ)
SANUは、自然の中にもうひとつの家を持てるサブスクリプションサービスです。都⼼から約1時間半〜3時間の場所にある複数の拠点に、月額55,000円で滞在することができます。
ただし、2022年5月時点において会員枠は満席。そのため、興味のある方は会員枠が増え次第、先着順で案内を受けられる「ウェイティング登録」に登録しておくことをおすすめします。
Hostel Life(ホステルライフ)
Hostel Lifeは、日本初の宿のサブスクリプションサービスです。月額9,000円から利用可能で、全国の宿に泊まったり住んだりすることができます。ホステルパスと呼ばれる独自のアイテムを用いるのが特徴で、その種類は全部で3つあります。デュアルライフの感覚をつかむために利用するのであれば、月に3泊まで宿泊できる「お試しパス」、または自宅とホステルで生活できる「二拠点パス」を選ぶのがおすすめです。
LivingAnywhere Commons(リビングエニウェアコモンズ)
LivingAnywhere Commonsは、「好きな場所でやりたいことをするライフスタイルの実践」を目的としたコミュニティ(サブスクリプションサービス)です。月額27,500円で、長期滞在が可能な複合施設を何度でも利用できます。この他、都度払い(6,600円/回)や回数券払いもあるので、用途に応じて柔軟に利用することも可能です。
hammosurfing(ハンモサーフィン)
hammosurfingは、月額10,000円で四国を中心に展開している19件の拠点を利用できるシェアリングサービス(サブスクリプションサービス)です。この価格には一親等(両親・配偶者・子ども)も含まれているため、例えば家族でデュアルライフを試すこともできます。
なお、今後はアメリカやヨーロッパ、オーストラリアなど、世界の国々にも拠点を展開する予定とのこと。そのため、セカンドハウスを海外に設けるケースもシミュレーションできます。
自治体によってはデュアルライフを支援している
繰り返しになりますが、地域によってはデュアルライフの支援制度を設けていることもあります。
例えば千葉県銚子市では、国土交通省による「二地域居住等推進モニター調査」の一環として、デュアルライフを誘致する取り組みを実施しています。具体的には、海に面し都心部からのアクセスも良好という魅力を知ってもらうため、デュアルライフを検討している人向けに「お試し住宅」を整備したのです。これにより、お試し住宅の利用者は「千葉県銚子市を生活拠点としたライフスタイル」を体感した上で、デュアルライフを始めるか否かを決めることができます。
千葉県銚子市の他にも、デュアルライフを支援する制度を設けている地域は複数あります。そのため、第二の生活拠点選びに悩んだ際は、支援制度の有無で考えてみるのも良いかもしれません。
まとめ
デュアルライフとは、2つの地域を生活拠点とするライフスタイルのこと。「メリハリのある生活を送れる」「さまざまな価値観を身につけられる」といったメリットを得られる他、拠点を設ける地域によっては支援制度を利用できるため、よりスムーズに始めることができます。
快適なデュアルライフの実現をお望みの方は、今回ご紹介した内容をご参考にした上で、ぜひはじめの一歩を踏み出してみてください。