セカンドハウスとは?所有するメリットやデメリット、注意点を解説
セカンドハウスを所有したい」という気持ちはあるものの、別荘とは何が違うのか、賃貸か購入か、ローンを組むことは可能かなどの疑問・不安から、なかなか一歩踏み出せずにいる方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、セカンドハウスの概要をはじめ、メリット・デメリット、賃貸と購入の違い、所有するにあたっての注意点などについてご紹介します。あわせて、セカンドハウスのローン事情も解説しているので、ぜひご参考にしてください。
目次
セカンドハウスとは?
セカンドハウスとは、その名のとおり、自宅とは別の「居住するための住まい」のことを指します。詳しくは後ほど解説しますが、セカンドハウスを所有する場合も、自宅と同様に優遇税制を受けることができます。ただし、そのためにはセカンドハウスを居住用財産と認めてもらう必要があるので、最低でも月に1日以上は宿泊し、使用の実態を証明しなければなりません。
セカンドハウスの条件
年に数日ほど宿泊する、または夏休み・冬休みなどの長期休暇のときだけ宿泊するなど、使用日数が少ない場合は、セカンドハウス(居住用財産)と判断されない可能性があります。上記のとおり、最低でも月に1日以上は居住しなければならず、これがセカンドハウス(居住用財産)として認められる条件のひとつです。
また、生活必需品として活用することも、セカンドハウス(居住用財産)の条件といえます。
例えば、自宅から職場まで行くのに片道1.5時間以上かかる地域に住んでおり、この状況を改善するため職場の近くに住居を購入したとします。この場合、新たに購入した住居は生活必需品と判断されるため、セカンドハウス(居住用財産)と認めてもらいやすくなるのです。
つまり、セカンドハウスの条件は「最低でも月に1日以上は居住すること」「生活必需品として活用すること」の2つ。どちらかひとつをクリアすれば、居住用財産として認められるでしょう。
別荘との違いとは?
「セカンドハウスと別荘は同じもの」と認識している方もいらっしゃるかもしれませんが、実はこれら2つは別物です。それぞれで目的が異なるため、その違いを理解しておきましょう。
セカンドハウス | 別荘 | |
利用目的 | 生活のため | 保養のため |
分類 | 居住用財産 | 保養施設 |
セカンドハウスは居住用財産
「最低でも月に1日以上は居住すること」「生活必需品として活用すること」の2つの条件のうち、いずれかをクリアできたセカンドハウスは、居住用財産として認められます。この点から、セカンドハウスの主な目的は「生活のために利用すること」だと考えられます。
別荘は保養施設
これに対し別荘は、特別なときにしか居住しない住まいのことです。具体的には、日常生活を過ごすための住居ではなく、避暑や避寒といった保養のために利用する住居のことを指します。この点から、別荘は保養施設に分類され、その目的は「休養のために利用すること」だと考えられます。
なお、住居の立地や広さ、設備などによって、別荘かセカンドハウスかが決まることはありません。仮に別荘が立ち並ぶリゾート地に住居を設けたとしても、それを生活のために利用しているのであれば、セカンドハウスとして認められます。
セカンドハウスのメリット、デメリット
では、セカンドハウスにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
メリット
セカンドハウスのメリットには、主に以下の4つが挙げられます。
優遇税制が受けられる
セカンドハウスとして認められた住居を所有した場合、税制面においてさまざまな優遇措置を受けられます。具体的には、固定資産税と都市計画税、不動産取得税が減額されます。
住居をはじめとする物件を所有すると、必ず固定資産税が課せられます。その計算方法は「課税標準額(固定資産税評価額をもとに算出される価格)×1.4%」というのが基本です。
しかし、セカンドハウス(居住用財産)と認められた物件に関しては、課税標準額に対する税率が「物件の面積」によって決まります。具体的には、200m2未満の物件は1/6に、それ以上の物件は1/3になるのです。これにより、固定資産税が減額されます。
市街化区域にて住居をはじめとする物件を購入すると、都市計画税が課せられます。その計算方法は「課税標準額×制限税率 0.3%(※税率は市町村の自主的判断)」というのが基本です。
しかし、セカンドハウス(居住用財産)と認められた物件に関しては、固定資産税と同様に課税標準額に対する税率が「物件の面積」によって決まります。具体的には、200m2未満の物件は1/3に、それ以上の物件は2/3になるのです。これにより、都市計画税が減額されます。
住居をはじめとする物件を購入すると、不動産取得税が課せられます。その計算方法は「固定資産税評価額×3〜4%(※土地・家屋(住宅)なら3%、家屋(非住宅)なら4%)」というのが基本です。
しかし、セカンドハウス(居住用財産)と認められた物件に関しては、計算方法が大きく変わります。住居は「(固定資産税評価額-控除額)×3%」で計算します。一方で土地は、計算式が「(固定資産税評価額×1/2×3%)-控除額」になります。これにより、不動産取得税が減額されるのです。
参照:
固定資産税|総務省
固定資産税制度について|総務省自治税務局固定資産税課
都市計画税|総務省
資料(税負担軽減措置関係)|総務省
不動産取得税|東京都主税局
不動産取得税|総務省
通勤の利便性が向上
職場の近くにセカンドハウスを所有した場合、通勤の利便性が大幅に向上します。通勤時間が短縮するのはもちろん、数十分〜数時間も歩く必要がない上に、電車を乗り換える手間もなくなるため、ストレスなく職場へ向かうことが可能です。
休日のライフスタイルを変えられる
セカンドハウスを郊外に所有した場合、これまでとは異なる休日を過ごすことができます。
例えば、職場の近くにある住居で休日を過ごすとなると、仕事がしやすい環境であるがために休みを返上して働いてしまう可能性があります。これでは、仕事で疲れた身体を癒すことができない上に、溜まったストレスを発散することもできません。
その点、郊外にあるセカンドハウスで休日を過ごすようにすれば、仕事から距離を置けるため、心身ともにリラックスさせることができます。また、趣味を楽しんだり自然を感じたりと好きなように過ごせるため、理想のライフスタイルを実現させやすくなるでしょう。
資産になる
セカンドハウスは立派な資産です。居住したり売却したりとさまざまな活用方法があるため、数ある資産の中でもとくに有用性のある種類といえるでしょう。
デメリット
セカンドハウスのデメリットには、主に以下の2つが挙げられます。
優遇税制を受けるには定期的に使用する必要がある
繰り返しになりますが、最低でも月に1日以上は居住しなければ、セカンドハウス(居住用財産)として認められず、ひいては優遇税制を受けることもできません。そのため、セカンドハウスを所有したら「毎週末に居住する」などと定期的に利用する必要があります。
維持費がかかる
セカンドハウスを所有した場合、維持費が発生します。その金額は、メインで過ごす自宅とほとんど変わらないといわれているため、単純計算で通常の2倍はかかると考えておくのが堅実です。
また、セカンドハウスを頻繁に利用する場合は、電気代や水道代、移動代がかさむことも。そのため、維持費も考慮した金銭的な計画・見通しを事前に立てるよう心掛けましょう。
セカンドハウスは賃貸か購入か
セカンドハウスを所有するにあたって、借りるか購入するか、お悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで以下にて、賃貸と購入、それぞれのメリットを解説します。
賃貸のメリット
セカンドハウスを賃貸で所有するメリットには、まず「気軽に解約できる」という点があります。
購入の場合は住居を容易に手放せませんが、賃貸なら契約期間の制限はあるものの、比較的好きなタイミングで解約することが可能です。そのため、例えば「実際に住んでみたらイメージと違った」という場合も、我慢して居住し続ける必要がありません。
この他、「必要な費用が少ない」という点も賃貸ならではのメリットです。
住居の購入価格は高額であり、場合によってはローンを組んで長期的に支払い続けなければならないこともあります。その点、賃貸は比較的手が伸びやすい価格設定であることが多いため、より気軽にセカンドハウスを所有することが可能です。
購入のメリット
セカンドハウスを購入で所有するメリットには、まず「資産を形成できる」という点があります。
賃貸で住居を所有すると毎月家賃を支払わなければならず、それは消費支出にしかなりません。その点、住居を購入すれば、住居そのものが資産となり残り続けるのです。また、資産としての住居はさまざまな方法で活用でき、例えば金融機関から融資を受けるための担保にすることができます。加えて、退職後に売却すれば老後の生活資金を補うことができ、余裕のある生活を送れます。
この他、「理想のライフスタイルを実現しやすい」という点も購入ならではのメリットです。
賃貸の場合は、リフォーム・リノベーションが禁止されていたり、ペットと一緒に過ごせなかったりと、何かと制限が設けられていることも。その点、購入の場合は住居が自分のものになるため、例えば「リフォームして空間を広げる」「ペット用の部屋を新設する」などの願望を叶えることができ、結果として理想のライフスタイルを実現しやすくなります。
セカンドハウス所有にあたっての注意点
セカンドハウスを所有するなら、以下の注意点について理解しておくことも大切です。
住民票を移動させる必要はある?
メインで過ごす自宅がある地域に住民票があるのであれば、セカンドハウスがある地域に住民票を移動させる必要はありません。ただし、生活拠点をセカンドハウスにする場合は、セカンドハウスがある地域に住民票を移す必要があるので、間違えないよう注意しましょう。
車庫証明について
車を購入する場合は、車庫証明が必要になります。そのため、もしセカンドハウス専用の車を別で購入するのであれば、車の保管場所を管轄する警察署にて車庫証明を発行しなければなりません。つまり、セカンドハウスがある地域を管轄する警察署にて発行を申請する必要があるのです。
メインで過ごす自宅で使っている車を、そのままセカンドハウスでも使用したいという場合も、基本的には同様の手順を踏みます。ただし、車庫証明が必要な理由を記した理由書や、セカンドハウスの住所が分かる書類などの提示を求められることがあるため、前もって準備しておくことが大切です。
セカンドハウスでローンを組むことは可能か?
「セカンドハウスを購入するにあたってローンを組むことはできるのか」と疑問を抱いている方もいらっしゃるでしょう。結論からいうと、セカンドハウスをローンで購入する際は「セカンドハウスローン」を利用します。
セカンドハウスローンとは
セカンドハウスローンとは、メインで過ごしている住居とは別に、第二の住居を購入する際に組むことができるローンのことです。その名のとおり、セカンドハウスを購入する際に利用できます。
セカンドハウスローンと通常の住宅ローンには、複数の違いがあります。例えば、セカンドハウスローンが上記のとおり、第二の住居を購入する際に組めるローンであるのに対し、通常の住宅ローンはメインで過ごす住居を購入する際に組めるローンです。
また、通常の住宅ローンの場合は、セカンドハウスや別荘など、生活拠点にはならない住居を購入する際には融資を受けられず、この点もセカンドハウスローンとの相違点といえます。
2つローンを組むならフラット35も視野に
メインで過ごす住居を購入するにあたって通常の住宅ローンを組んでいる状態で、さらにセカンドハウスを購入するためセカンドハウスローンを組むとなると、どうしても出費がかさんでしまいます。セカンドハウスを購入するにあたって出費を最小限に抑えたい場合は、セカンドハウスローンではなく「フラット35」を選択するのも一案です。
条件は住宅ローンと同じ
フラット35の魅力は、何といっても「通常の住宅ローンと同じ条件であること」です。具体的には、どちらも同じ金利となっています。
詳しくは後ほど解説しますが、金利に関しては通常の住宅ローンよりもセカンドハウスローンのほうが高いため、フラット35を利用すれば出費を最小限に抑えた上でセカンドハウスを購入できます。
総返済負担率に注意
フラット35を利用する場合は、総返済負担率の上限に注意を払う必要があります。
総返済負担率とは、収入に対するローンの返済額の割合です。フラット35では、これを「年収が400万円未満なら30%」「年収が400万円以上なら35%」と定めています。
仮にこの基準を上回った場合、「長期に渡って無理なく返済するのは困難」と判断され、ローンを組めなくなる可能性があります。そのため、総返済負担率の上限を上回らないか確認すると同時に、無理なく返済できるような計画を立てることが大切です。
セカンドハウスローンを利用する際の注意点
セカンドハウスローンを利用する際は、以下の注意点について理解することが大切です。
審査に通りづらいこともある
セカンドハウスローンの審査において、最も重視されるのは「返済能力」「雇用状況」「健康状態」の3つです。そのため、すでに通常の住宅ローンを組んでおり、追加でセカンドハウスローンを組む場合は、一定基準以上の収入がないと「返済能力がない」と判断され、審査に落ちてしまう可能性があります。誰でも必ずローンを組めるとは限らないので、この点は理解しておきましょう。
高金利である
セカンドハウスローンは、経済的に余裕がある方の利用が多い傾向にあるため、通常の住宅ローンに比べて金利が高く設定されています。これは、すなわち「金利も合わせて問題なく返済できる場合しか利用できない」ということです。そのため、セカンドハウスローンを組む際は返済計画を立ててみて、現実的に利用可能かどうかを確かめるようにしましょう。
まとめ
セカンドハウスは、自宅とは別の居住するための住まいのこと。所有すれば優遇税制を受けられる他、通勤の利便性が向上したりライフスタイルを変えられたりと、複数のメリットを得られます。
ただし、セカンドハウスを購入するにあたってはローンを組むことも多く、その場合はあらかじめセカンドハウスローンやフラット35について理解を深める必要があります。手間に感じるかもしれませんが、ここを徹底することで理想のライフスタイルを無理なく実現することができます。
セカンドハウスの所有をお望みの方は、今回ご紹介した内容をご参考にした上で、ぜひ第二の住まいを活用した生活をスタートさせてみてください。