不動産投資を成功させるにはシミュレーションが必須!必要な情報と具体的な方法を知ろう
不動産投資を成功させるには、あらかじめシミュレーションする必要があります。しかし、具体的にどう行えば良いのか分からず、足踏みしている方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、不動産投資のシミュレーションの概要とともに、実行する上で必要な情報、具体的なシミュレーション方法、押さえておきたい注意点などについてご紹介します。あわせて、シミュレーションをする上で便利なツールもご紹介しているので、ぜひご参考にしてください。
目次
何を把握できるの?不動産投資のシミュレーションとは
不動産投資のシミュレーションとは、収支を試算し、最終的にどれほどの利益を得られるのか把握することです。具体的には、「年間の家賃収入」から「税金や諸経費をはじめとする年間の支出」を差し引いたときに、どれくらいの現金が残るのかを試算します。
シミュレーションはあくまでも予測なので、正確な利益を導き出すことはできません。それでもある程度の目安は把握できるので、いざ不動産投資を始めた際に資金繰りがしやすくなります。そのため、不動産投資に取り組む際は、あらかじめシミュレーションすることが大切です。
シミュレーションする上で必要な情報
不動産投資のシミュレーションを行う際は、前もってさまざまな情報を収集する必要があります。その中でも、とくに「物件の購入価格・基本情報」「年間の家賃収入」「物件購入後の維持・管理費」の3つは必須なので、欠かさず確認しましょう。
物件の購入価格・基本情報
物件の購入価格は、利回り(投資した金額に対して得られる利益の割合)を計算する上で必要な情報です。また、ローンを含む自らの投資金額を把握する上でも欠かせません。さらに、購入価格を土地と建物の2つに分けて把握すれば減価償却費を把握でき、税額を計算しやすくなります。
つまり、物件の購入価格から導き出せる情報は複数あり、それは不動産投資の収支をシミュレーションする上で役立つということです。そのため、投資用の物件が決まったらその購入価格を覚えておく、または記録しておくようにしましょう。
物件の基本情報には、主に構造や面積、築年数が該当します。これらは、物件価値の動向や修繕費の有無などをシミュレーションする上で欠かせない情報です。そのため、購入価格とあわせて把握しておく必要があります。
年間の家賃収入
年間の家賃収入も、不動産投資の収支をシミュレーションする上で欠かせない情報です。基本的には「月々の家賃×12か月」で計算しますが、必ずしも常に満室とは限りません。シミュレーションの精度を上げるためには、空室を考慮して算出するのがおすすめです。
例えば、1年のうち2か月程度は空室になるだろうと予測できる場合は、年間の家賃収入を「月々の家賃×(12か月-2か月)」で計算します。空室期間に正解はないので、投資用の物件の実績や立地の賃貸需要などを参考に予測すると良いでしょう。
この他、物件の家賃は築年数を重ねるごとに下落する傾向があるため、長期間のシミュレーションを行う場合はその点も考慮することが大切です。
なお、物件の家賃はレントロール(賃料等一覧表)で確認できます。レントロールは不動産会社で取り扱っていることが多いため、積極的に問い合わせてみると良いでしょう。
物件購入後の維持・管理費
不動産投資にかかる費用は物件の購入費だけではありません。物件を運用するにあたって、「修繕積立金」や「賃貸管理手数料」「固定資産税」「火災(地震)保険料」などの維持・管理費も発生します。
それぞれがいくらになるのか前もって知っておけば、不動産投資の収支をより現実的にシミュレーションすることが可能です。そのため、物件購入後の維持・管理費も上述した2つの情報とあわせて把握しておくことをおすすめします。
なお、維持・管理費は不動産会社に確認すれば教えてもらえることがあります。税金については、物件の購入価格から減価償却費を導き出せば、自ら計算することが可能です。
不動産投資成功の鍵?!シミュレーションが重要な理由
不動産投資を行うにあたってシミュレーションが重要な理由には、主に以下の3つが挙げられます。
実質利回りが分かるから
利回りには、主に「表面利回り」と「実質利回り」の2つがあります。
表面利回りでは「税金や諸経費を差し引く前の家賃収入」を利益と考えます。つまり、「表面利回り=手元に残る利益」というわけではないのです。そのため、表面利回りだけで物件を選ぶと想定していた利益を得られず、不動産投資が失敗に終わる可能性があります。
一方、実質利回りは空室率の他、税金・諸経費を考慮した利回りです。
上述のとおり、不動産投資のシミュレーションでは空室率や税金・諸経費に関する情報を活用します。つまり、シミュレーションを行えば実質利回りを導き出すことができるのです。
実質利回りが分かれば、その物件に投資した場合、どれほどの利益が手元に残るのかをある程度把握できます。ひいては、より優良な物件を見つけやすくなります。これは不動産投資を成功させる上で重要なポイントになるため、シミュレーションは行うべきといえるでしょう。
キャッシュフローを予測できるから
不動産投資を成功させるには適切な資金繰りを行う必要があり、それを実現する上で役立つのがシミュレーションです。
例えば、ローンを組んで投資用の物件を購入した場合、借入額の返済には家賃収入を充てるのが一般的です。その上でもし退去が発生したら、次の入居者を確保できるまで自己資金を切り崩して返済していく必要があります。これはいわば「収支がマイナスになる可能性がある」ということです。
不動産投資を行う際、こうした収支がマイナスになる可能性を考慮しておかないと、想定外の支出が発生し自らに大きな負担がかかってしまいます。この事態を防ぐには、前もってシミュレーションを行う必要があるのです。
シミュレーションを行えば、月々のキャッシュフローをある程度予測できるため、年間の収支計画を現実的に立てることができます。また、資金繰りに問題がないかも確認しやすくなるので、不動産投資を成功へと導きやすくなるでしょう。
リスクを回避できるから
どのような投資にもリスクは付きものです。不動産投資の場合は事前にある程度予測ができ、例えば「空室」「家賃滞納」「資産価値の下落」「天災」などが挙げられます。そのため、万が一に備えて対策しやすく、リスクが原因で損害を被る可能性を最小限に抑えやすくなっています。
また、シミュレーションを行えばより現実的なリスク、例えば「利回りの誤算」「投資用の物件の選択ミス」などを回避しやすくなります。なぜなら、実際に利回りを計算したり、選んだ物件の収益性を確かめたりするからです。これにより、投資用の物件選びを誤る可能性が低くなり、不動産投資を成功させやすくなるため、シミュレーションは重要といえるでしょう。
計算式を使って実践!不動産投資のシミュレーションをしてみよう
では、実際に不動産投資のシミュレーションを行ってみましょう。
物件の購入・管理・運用について |
物件:区分マンション 物件の基本情報:東京都品川区(最寄り駅から徒歩10分)、築10年、20㎡ 物件の購入価格:3,000万円 家賃:13万5,000円(1年あたり162万円) 物件購入時の諸経費:90万円 1か月の諸経費:5万円 |
ローンについて |
金融機関:地方銀行 金利:2% 融資期間:30年 融資金額:2,000万円(1,000万円は自己資金で支払い) |
例えば上述したケースの場合、毎月のローン返済額は「7万3,923円」です。これを踏まえて毎月の支出を計算すると、「家賃(13万5,000円)-経費(5万円)-ローン返済額(7万3,923円)=1万1,077円」となります。つまり、月に1万1,077円の利益を得られるということです。
物件購入時の諸経費も含めると最初は大幅な赤字になりますが、入居者がいる限り1万1,077円の利益を安定して得ることができるため、後に黒字転換するでしょう。
なお、ローンの返済額は「借入金額×月利×(1+月利)α乗÷((1+月利)α-1)」の計算式で算出します。αには返済回数が入り、月利は「金利×12」で求めます。自ら計算することもできますが、とても複雑なのでシミュレーションツールなどを活用するのがおすすめです。
押さえておこう!不動産投資のシミュレーションをする際の注意点
不動産投資のシミュレーションを行う際は、以下の注意点を押さえておくことも大切です。
周辺物件の相場を考慮して家賃を設定する
前提として、投資用の物件の家賃は自分自身で決めることができます。
ただし、早く多くの利益を得たいからといって、周辺物件の相場よりも高い金額に設定するのは望ましくありません。なぜなら、家賃が高額な物件の需要は低い傾向にあり、入居者をなかなか確保できなくなる可能性があるからです。これでは、満足に利益を得ることはできません。
一方で、周辺物件の相場よりも低い金額にするのも避けるべきといえます。空室になる可能性は低いかもしれませんが、思うほど家賃収入を得られないため利益が下がりかねません。
これらの点から、家賃を設定する際は「周辺物件の相場を考慮すること」が欠かせないといえます。そうすれば、より現実的なシミュレーションができるでしょう。
家賃が下落する可能性を考慮する
上述のとおり、物件の家賃は築年数を重ねるごとに下落するのが一般的です。つまり、運用開始時に家賃を高く設定しても、その金額は徐々に下がる可能性があるということです。投資期間が長ければ長いほど、その影響は大きくなる傾向があります。
そのため、不動産投資のシミュレーションを行う際は「家賃が下落する可能性を考慮すること」が大切です。あらかじめ不動産会社にて対象物件や周辺物件の過去の家賃下落率を確認し、それを参考にすると予測を立てやすくなるでしょう。
空室になる可能性を考慮する
賃貸物件の契約期間は2年であることが多く、契約更新時に退去が発生する可能性は十分に考えられます。そのため、もし常に満席と予測してシミュレーションをすると、万が一退去が発生した際に困惑したり、思うような家賃収入を得られず資金繰りがうまくいかなかったりする恐れがあります。
こうした事態を防ぐためには、シミュレーション時に「空室になる可能性を考慮すること」が大切です。そうすれば、万が一のときにも冷静に対処でき、不動産投資を成功させやすくなるでしょう。
ぜひ活用してみて!シミュレーションをする上で便利なツール
不動産投資のシミュレーションを行う際は、以下でご紹介するツールを活用するのも一案です。
Excel(エクセル)
まず挙げられるのは「Excel」です。収支を直接入力して計算することもできますが、その場合は関数を組む手間が発生するため、不動産投資初心者の方だと難しく感じることもあるかもしれません。
より簡単にシミュレーションを行いたい場合は、以下のソフトを活用するのがおすすめです。
キャッシュフロー計算ソフト
物件の購入価格や金利、ローンの借入金額など、基本的な情報を入力するだけでキャッシュフローと課税所得額を算出できるツールです。空室率を0%・10%・20%・30%の4つから選択できる他、ローンの返済年数(何年目か)も変更できるため、現実的なシミュレーションを行えます。
IRRによる不動産投資収益計算Excelシート(Lite版)
10,000人以上のユーザーに利用されているツールです。IRR(内部収益率)や税金差し引き後のキャッシュフロー、ローンの返済額(月額)などを計算できる他、ローン返済のシミュレーション・売却価格が収益率に与える影響のシミュレーションを行うこともできます。大手仲介業者やファンド関係者などにも愛用されているため、その信頼性は申し分ないと考えられます。
参照:IRRによる不動産投資収益計算Excelシート(Lite版)|Vector
Webサイト
この他「Webサイト」を活用するのも一案です。情報収集に役立つサイトや収支の計算をサポートしてくれるサイトなど、不動産投資のシミュレーションをする上で便利なWebサイトは多数あります。これらを積極的に活用すれば、より簡単に予測を立てられるでしょう。
全国地価マップ
固定資産税路線価等、相続税路線価等、地価公示価格、都道府県地価調査価格を調べることができるWebサイトです。具体的には、一棟物件投資(一棟マンション・一棟アパート・一戸建てなど)の際の土地価格を調べる際に役立ちます。スマートフォン版のサイトも用意されているため、出先でも気軽に情報収集することが可能です。
参照:全国地価マップ
keisan
生活や実務に役立つ高精度な計算を行えるWebサイトです。ローンの返済額(月額)を簡単に計算できるため、活用すれば上述したような複雑な計算式で算出する手間を省けます。
また、ローンの返済額・家賃収入・諸経費を入力すれば、簡単に不動産投資のシミュレーションも行えます。ただし、固定資産税・都市計画税(土地・家屋)は経費に含んでいないため、その点は理解した上で使用することが大切です。
参照:keisan
シミュレーションしても分からない!そのときはプロに相談しよう
「不動産投資の利益として、どれくらいの現金が手元に残るのか」は、シミュレーションをすることである程度予測できます。しかし、シミュレーションをする上で必要な情報を収集できなければ、予測はできなくなります。もちろん、上述したツールを活用する場合も同様です。
また、シミュレーションで分かるのはあくまでも利益の目安です。「確実にこの利益を得られる」と、断定的な結果が出るわけではありません。
そのため、もしシミュレーションをする中で分からないことが出てきたり、不安を感じたりしたときは、不動産投資のプロである不動産会社に相談することをおすすめします。優良な不動産会社なら、これまでの経験で培ったノウハウをもとに的確なアドバイスをしてくれるので、疑問や不安を解消した上で一歩を踏み出せるでしょう。
まとめ
不動産投資を始めるにあたって「どれくらいの利益を得られるんだろう」「どんなリスクがあるんだろう」と疑問や不安を抱えている方もいるでしょう。これらは、あらかじめシミュレーションすることで解決できる場合があります。
そのため、これから不動産投資に挑戦する方は今回ご紹介した内容を参考に、ぜひシミュレーションを行ってみてください。それでも、もし分からないことがある場合は、どうぞお気軽に穴吹興産株式会社にご相談ください。